端渓四海昇平硯

中国高級硯として知られる端渓の硯です。端渓は唐の時代より極めて質の良い硯が取れる地域とされ、石質はきめが細かく艶やかで、幼児の肌のような潤いを持ち、手触りは清涼感があり、滑らかなのが特徴です。
この希少な端渓硯は百余年前に採石され、1991年に世界平和の願いを込め中国の彫刻家が作成しました。
彫刻は伝統的な風格も守り、現代の思想も取り入れ、技法の上では薄い浮き彫りと、線彫りと細かく彫ることを結合させて精魂込めて作られました。
書道に携わる方は必見です。

端渓四海昇平硯の裏側

端渓四海昇平硯の裏側
端渓四海昇平硯の裏側

【訳】
端州の石工は、その巧みなこと、まったく神わざだ。高い高いところで、天を踏まえるような姿勢で、刀をみがいて紫いろの雲を切りとる。 切りとったその石材をキチンと切りととのえ、みごとな硯を作り出した。硯池を彫り磨き、いっぱいに水を含ませる、萇弘の血が凝り固まってできた碧玉さながらと言うべきか、 ほのかに映る眼の冴えた青さ! これが書斎にそなえられると、紗帷(しゃのとばり)は昼暖かで墨の花がさく春心地。 軽いあわ、ただようしぶき、松煤を固め麝香を練った墨のかおりが匂うてくる。この硯のいろつや、乾いてもあぶらぎった肌、薄くてもどっしりとした重さ、均斉のとれたすわり数寸の光が 澄んで秋の空のように太陽の輝きにすこしの曇りもない。ふくらんだ筆の穂先をひたひたとつけてみると、静かなそして新鮮な音がする。 これにくらべると、あの孔子さまが御使用になったという硯なんか、ばかでっかくて、武骨で、いやはや、とりたてて問題にするにも足るまい。